【ティアキン100時間クリアレビュー】ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム

ゼルダの伝説の最新作「ティアーズオブザキングダム」は、このゲームの歴史に残る傑作と言えるでしょう。数年に1本出るかどうかのレベルの素晴らしさで、前作「ブレスオブザワイルド」を超えたと断言できます。

ゲームの概要

「ティアーズオブザキングダム」はオープンワールド型のアクションアドベンチャーゲームで、広大な空と大地を自由に冒険することができます。舞台となるのは、天辺地へに見舞われたハイラル。城は空へと浮かび上がり、空からは謎の遺跡群が降り注ぎ、リンクは世界を救う方法を求め、果てなき冒険に再び身を投じます。

新たな能力として、「右手の力」を使用することが可能となり、前作ではできなかったことが可能になりました。例えば、モドレコを使って物の移動を逆再生したり、ウルトラハンドを使って乗り物を組み立てたり、といった新たな行動が可能となります。また、これらの能力を組み合わせることで意外な攻略法が見つかることもあります。

プレイヤーの工夫が鍵となる

本作はプレイヤーの工夫次第で、一見難しいと思われる場面もスムーズに進めることができます。例えば、大きな荷物を遠くまで運ぶ必要があったり、非常に高い空島まで登る必要があったりと、一見すると大変そうに見える場面でも、工夫次第で容易にクリアすることが可能です。

例えば、冒頭の空島では細いレールを渡っていく工程が存在しますが、ここでもいくつかの方法でクリアすることが可能です。

  1. 中辺に落ちていたフックと丸太で作ったリフトを使って渡る
  2. フックに捕まって渡る
  3. 縦サーフィンでレールの上を渡る
  4. 丸太を何十個も組み合わせた橋を使って渡る

これらは、前作の謎解きも複数の解答が用意されていましたが、今作ではさらに増えていることを示しています。新たな能力の汎用性が高いことから、ゲームの終盤になっても新たな発見があることでしょう。
「ティアーズオブザキングダム」は、プレイヤーの反射神経を鍛えるだけでなく、知恵も試されるゲームです。本作の世界には独自のルールがあり、最初のうちは理解するのが難しいかもしれません。しかし、何かが上手く行かないと感じたら、発想の転換を試みてみることをお勧めします。様々な攻略法が隠されていることでしょう。

自由な探索と工夫

本作の楽しさは、プレイヤーが工夫を凝らすことで、様々な方法でゲームを進行することができる点にあります。例えば、苦手なエリアを突破するために空等マシンを作成したり、天井の上へと一瞬で移動することが可能です。しかし、すべてが自由な訳ではなく、ゲームバランスが保たれています。

制限とそれを越える方法

空等マシンを使用して移動する場合、ゾナウエネルギーというバッテリーを消費します。これがゼロになるとマシンは停止してしまいます。初めはバッテリーの容量が少ないため、バッテリーの容量を拡張するためのアイテムを探索しなければなりません。このような制限は他にも存在します。

  • パラセールで滑空できる時間や限度がある
  • 同じ武器を使い続けていると壊れてしまう

これらの制限は寄り道をすることで解消することが可能です。例えば、滑空できる時間を長くしたり、武器を壊れにくくする手段を見つけることができます。その結果、プレイヤーは能動的に探索することが奨励されています。

敵との戦闘

主人公の道のりは強力な敵によって阻まれます。それぞれの敵は非常に強力で、戦闘は困難を極めます。しかし、様々な地域を探索して強い武器や防具を見つけることで、戦闘がだんだん楽になります。

特筆すべきは、本作では経験値の概念が存在しない点です。多くのゲームでは敵を倒すことで経験値を得て、一定の経験値を得ることでレベルアップし、主人公が強くなります。しかし本作では、そのような要素は存在せず、各地に散らばるアイテムを見つけることで戦闘がだんだん楽になるようなバランスになっています。

壮大なボリューム

「ティアーズオブザキングダム」は圧倒的なボリュームを誇ります。前作のボレーアイと比較しても、本作のボリュームは3倍以上となっています。その要因は主に3つあります。

  1. 空と地底のマップが追加されたこと
  2. 新たな敵と強化項目の追加
  3. アイテムの探索というゲーム性の強化

空のマップには多くの空島が浮かんでおり、それぞれが異なる試練を提供します。また、地底のマップも見通しが悪く、明かり花の種を設置したり、大きな音に触れることで視界を明るくするなど、新たな挑戦が待っています。地底にはゾナニウムという多様な用途に使用できる鉱石を探し出す楽しみもあります。これらの新たなマップは、ゲームプレイに多様性をもたらし、ボリュームの増加だけでなく、ゲームの魅力を一層深めています。

地上マップの大幅な変化

「ティアーズオブザキングダム」のボリュームが膨大な理由の一つは、地上マップが大きく変わっていることです。前作と共通の要素もありますが、その中には新たな要素が多数追加されています。

  • 街の環境変化:街の環境が大きく変わっています。具体的な変化点はプレイ中に自然と気付くことでしょう。
  • 洞窟の追加:新しく洞窟が追加されており、一見すると一部屋分の大きさに見えますが、アリの巣のように複雑な構造になっています。これにより探索の要素が増えています。
  • 祠やタワーの位置変化:祠やタワーの位置が変化しています。これらの要素は前作のプレイヤーにとっては新鮮な驚きを提供します。

以上の要素は、同じ地形でも新たな発見があり、プレイヤーにとってはワクワク感を提供します。また、前作で登場した数百個の祠やコログも続投され、ミニダンジョンの攻略やコログの探索など、コンプリートには膨大な時間を要します。

複数マップのチャレンジ

「ティアーズオブザキングダム」のボリュームが大きい理由の三つ目は、地上、空、地底の3つのマップを絡めたチャレンジが大量に用意されていることです。それぞれのマップは独立しているわけではなく、シームレスに繋がっています。チャレンジの中には各マップを行き来することでクリアできるものがあります。特に地底の仕掛けを解除することで地底に変化が起こる要素は、壮大なパズルを解いているような感じを提供します。

ストーリー

今作のストーリーは勇者が悪を倒して世界に平和をもたらすという王道の展開です。その中でも以下の三つの要素が特に素晴らしいと感じました。

  • 仲間との共闘:ゲームを進めていくと一緒に冒険できる仲間が増えていきます。シドリト族の少年チューリやジケル族の戦士イーザなど、個性豊かなキャラクターたちが勇者の旅を助けます。それぞれのキャラクターは自分のストーリーラインを持っていて、その展開を追うことも一つの楽しみです。
  • 王国の成長:ストーリーを進めることで、王国が成長していく過程を見ることができます。これは、プレイヤーが直接影響を与えることができるため、より深くゲームに没頭できます。例えば、新たな施設を建設したり、市民に助けを求められたりします。それぞれの選択が王国の成長に直結しており、結果を見るのが楽しみです。
  • 深いバックストーリー:ゲームの世界観を支えるバックストーリーは深く、物語性が強いです。歴史、神話、伝説などが緻密に構築されており、それらを探求することはゲームの醍醐味の一つです。

その他の要素

その他にも、以下のような要素が「ティアーズオブザキングダム」のボリュームを増大させています。

  • アイテムクラフト:アイテムの製作・強化システムが存在します。素材を集めてアイテムを作る楽しさや、強化を繰り返して強大な武器を作り上げる達成感があります。
  • フリーダムアクション:プレイヤーのアクションは非常に自由で、様々なアクションを組み合わせて探索することが可能です。例えば、壁を登ったり、滑空したり、ワープしたりといったアクションがあります。
  • マルチプレイ:最大で4人までのマルチプレイが可能です。友人たちと一緒に大冒険を楽しむことができます。

機能の改善と新機能

「ゼルダの伝説:ティアーズ・オブ・ザ・キングダム」は、その前作から大幅に改善された部分が多く、上位互換とも言えるような魅力が溢れています。

  • 前作では雨が降っている時に濡れた壁を登るのが困難だったのですが、今作では特定のイベントを進めることで濡れた壁でも登れるようになる防具を入手できます。
  • 手持ちが満タンの状態で装備アイテムが入った宝箱を開けると、自動的にアイテムメニューが挿入されます。
  • 一度作った料理やレシピからすぐに作ることが可能になりました。
  • オプションでプロモードに設定すると、ミニマップなどの表示を消すことができ、よりゲームに没入することが可能です。

ストーリーとゲームプレイ

前作で謎に包まれていたゾナウ族の秘密が明かされ、ゼルダとリンクが離れ離れになるというストーリーは非常に目を引きます。しかし、初めてプレイすると、前作とやっていることがあまり変わらないと感じるかもしれません。

ゲームは始まりの空島というマップで、ホコラというミニダンジョンを探すことから始まります。ホコラに入るたびに新しい能力を入手できますが、初期のステージでは比較的攻略ルートが固定化されており、自由度が低いと感じるかもしれません。

しかし、地上に降り立ち、パラセールを入手するとゲームの印象が一変します。これによりできることが飛躍的に増え、ゲームが一気に面白くなります。

ダンジョンとチャレンジ

今作でも大型ダンジョンは全部で4種類と少ないと感じるかもしれませんが、各ダンジョンでは大掛かりな謎解きが用意されているため、ボスの種類が多彩な点は非常に良いと思います。

また、ゲームの難易度は前作よりもやや高めに設定されています。特に、前半のゲームは限定された装備と能力で探索しなければならず、プレイヤーに対する挑戦が増しています。しかし、ゲームの進行に合わせてプレイヤーの能力も成長し、新しい技を覚えることで難所を突破できるようになります。これはプレイヤーの達成感を大きく高めています。

このゲームでは新たな種族が登場し、それぞれが特有のチャレンジと絡んできます。たとえば、空を飛ぶことができる新種族との出会いが新たな探索方法をもたらし、それに伴う新たな挑戦が追加されました。

グラフィックスと音楽

グラフィックスは前作を踏襲しつつも、一部のエフェクトやテクスチャが向上しており、全体的に洗練された印象を受けます。特に、新たに追加された天候エフェクトや、新種族のデザインは印象的です。

また、このゲームの音楽は非常に素晴らしく、各地域、ダンジョン、戦闘など、シーンに応じて変わる音楽は、ゲームの雰囲気を大いに盛り上げています。

総評

「ゼルダの伝説:ティアーズ・オブ・ザ・キングダム」は、前作を踏襲しつつも新しい挑戦と進化を試みた作品です。新たな種族の登場やダンジョンの改善、プレイヤーの能力や装備の進化など、さまざまな面で新たな挑戦が試みられています。一部のゲームプレイには少々慣れが必要かもしれませんが、その挑戦を乗り越えたときの達成感は何物にも代えがたいものがあります。これらの要素が絶妙に組み合わさった結果、全体として非常にバランスの良いゲームになっています。